測度論
\[ \newcommand{\bs}{\backslash} \newcommand{\R}{\mathbb{R}} \newcommand{\F}{\mathcal{F}} \]
測度論のお気持ち
- ルベーグ積分
- リーマン積分を集合論から考える
- 「無限」を集合論を通じて明確にしたい
- その中で「測度」という概念が生まれた
- 現代的な(集合論的な)解析学の基礎となっている
- 何がうれしいか
- 無限がきちんと定義される
- 積分と極限を簡単に入れ替えられる
- 無限がきちんと定義される
可測空間
集合 \(S\) とその部分集合族 \(\Sigma\) の組 \((S,\Sigma)\) が可測空間であるとは,
- 空集合を含む \(\emptyset \in \Sigma\)
- 余集合について閉じている \(A\in\Sigma\Rightarrow A^C(=S\bs A) \in \Sigma\)
- 和集合について閉じている \(A_i\subset\Sigma \Rightarrow \cup_i^\infty A_i\in\Sigma\)
\(\Sigma\) を σ 加法族という.
性質
- 全集合と空集合を含む
- 和集合・差集合・余集合・積集合について閉じている
基本的な集合演算について閉じた集合族になっている(逆にこれだけしか要請しないというのはすごい)
加法族の入れ方の例
- 最小の加法族
- \(\Sigma=\{S,\emptyset\}\)
- 1点 \(A \subset S\)
- \(\Sigma=\{S,A,A^C,\emptyset\}\)
Borel 集合族
\(\R \cup \{\infty,-\infty\}\)が生成する加法族を \(\mathcal{B}(\R)\) という
可測関数
\((S_1,\Sigma_1),(S_2,\Sigma_2)\) を可測空間とする.
写像 \(f : S_1\rightarrow S_2\) が \(\Sigma_1/\Sigma_2\) 可測であるとは,
\[ \forall A\in\Sigma_2 \quad f^{-1}(A) \in \Sigma_1 \]
加法族の引き戻しが加法族であること
※ これは位相空間で開集合を用いて連続を定義したのと同じ
実数への写像
性質
測度空間
可測空間 \((S,\Sigma)\) と写像 \(\mu: \Sigma \rightarrow [0,\infty]\) の組 \((S,\Sigma,\mu)\) が可測空間であるとは,
- \(\mu(\emptyset)=0\)
- 互いに素な集合 \(A_i \subset \Sigma\) について \(\mu(\cup_i^\infty A_i) = \sum_i^\infty \mu(A_i)\) (加算加法性)
\(\mu\) を測度という
ルベーグ測度
\((\R,\mathcal{B}(\R))\) 上の測度 \(\mu\) で
\[ \mu([a,b))=b-a \]
なる測度が唯一存在し,ルベーグ測度という
積分
\(\Sigma\) -可測関数 \(f:S\rightarrow\R\) に対して積分は
\[ \int f d\mu = \int f^+ d\mu - \int f^- d\mu \]
\(\int f d\mu \in \R\) のとき \(f\) を可積分という
ルベーグ積分
\(f:\R\rightarrow\R\) を \(\mathcal{B}(\R)\)-可測関数(ボレル可測関数)とする
\[ \int_a^b f(x) dx = \int f1_{[a,b]} dx \]
単調収束定理
\(\Sigma\)-可測な関数列 \(f_n\) が単調増加(\(\forall x \in S 0 \leq f_n(x) \leq f_{n+1}(x)\))のとき
\[ \int f(x) d\mu(x) = \lim_{n\rightarrow \infty} \int f_n(x)d\mu(x) \]
なる \(\Sigma\)-可測関数 \(f(x)\) が存在する
※ 収束先が \(\Sigma\) -可測関数上にある
ファトゥの定理
\[ \int \liminf_{n\rightarrow\infty} f_n(x) d\mu(x) \leq \liminf_{n\rightarrow\infty} \int f_n(x) d\mu(x) \]
ルベーグの優収束定理
\(\forall x\in S \exist f(x)=\lim f_n(x)\)
ある可積分関数 \(g\) に対し \(|f_n(x)|\leq g(x)\)
\[ \int f(x)d\mu(x) = \lim_{n\rightarrow\infty} \int f_n(x) d\mu(x) \]